筆者自身、認定特定創業支援等事業を受けるメリットの一つである会社設立時の登録免許税の軽減措置である、株式会社設立の場合は15万円が7.5万円のメリットを享受するためにセミナーを受講しました。
認定特定創業支援等事業とは?
認定特定創業支援等事業とは、産業競争力強化法に基づき、国が認定した市区町村が、創業を志す方や創業後間もない方に対して行う継続的な支援事業です。
この事業では、経営、財務、人材育成、販路開拓といった創業に必要な4つの知識を体系的に学ぶことができます。
詳細は中小企業庁ホームページのこちらから確認できます。
認定特定創業支援等事業を受けるメリット
認定を受けた特定創業支援等事業による支援を受け、市区町村から「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の交付を受けると、以下のような様々なメリットがあります。ただし、これらのメリットは、それぞれの制度の利用要件を満たす必要があり、また自治体によって内容が異なる場合がありますので注意が必要です。
会社設立時の登録免許税の軽減
- 新たに株式会社または合同会社を設立する際に、登録免許税が資本金の0.7%から0.35%に軽減されます。
- 最低税額も減額され、株式会社設立の場合は15万円が7.5万円に、合同会社設立の場合は6万円が3万円になります。
- この特例を受けるためには、会社設立前に証明書を取得し、法人登記時に法務局へ提出する必要があります。
- 合名会社や合資会社の設立も軽減対象となる場合があります。
- 本店所在地を管轄する自治体の証明書が必要となる点に注意が必要です。
創業関連保証の特例
- 通常、事業開始2ヶ月前からとなる無担保・第三者保証人不要の創業関連保証について、事業開始6ヶ月前から申し込むことが可能になります。
- 保証枠が1,000万円から1,500万円に拡充される場合があります。
- 他の自治体で創業する場合でも、交付を受けた証明書で特例を受けられる場合があります。
- 別途、信用保証協会の審査が必要です。
日本政策金融公庫の「新規開業資金」および「スタートアップ支援資金」の優遇措置
- これらの融資制度を利用する際に、貸付利率の引き下げの対象となります。
- 「新創業融資制度」においては、自己資金要件を満たしたものとして利用できる場合があります。
- 別途、日本政策金融公庫の審査が必要です。
自治体独自の優遇措置
- 横浜市では、中小企業融資制度「創業おうえん資金」の利用開始時期の前倒しや、「スタートアップおうえん資金」の融資利率の軽減、保証料の全額助成などのメリットがあります。また、「空き店舗開業助成事業」や「小規模事業者持続化補助金」の創業枠への申請が可能になります。
- 東京都の「創業助成金」の申請要件に該当する場合があります。また、「創業融資」の金利優遇措置を受けることができます。
- 堺市では、「堺市創業者支援資金融資(有担保)」の対象となるなどの優遇措置があります。
- 福岡市では、登録免許税の軽減を活用して会社を設立する創業者に対し、市が残りの半額相当額を支援する独自の補助金制度があります。
証明書交付までの流れ
証明書の交付を受けるまでの基本的な流れは以下の通りです。具体的な手続きや必要書類は各自治体によって異なりますので、必ず管轄の市区町村の情報を確認してください。
特定創業支援等事業による支援を受ける
市区町村または認定連携創業支援等事業者が行う、経営、財務、人材育成、販路開拓の知識が全て身につく継続的な支援を受けます。
- 支援期間は、原則として4回以上かつ1ヶ月以上の継続的な支援を受ける必要があります。
- 支援事業は、セミナー、経営相談、イベント参加など、様々な形式で行われています。
- 各支援事業の開催時期、対象者、費用、詳細については、各支援事業者へ直接お問い合わせください。
修了証明等、申請に必要な書類を受け取る
- 支援事業を修了すると、実施した事業者から修了証明に関する書類が発行されます。この書類が証明書発行の申請に必要となります。
市区町村へ証明書の交付申請を行う
- 申請方法には、オンライン申請 や窓口申請 などがあります。自治体によっては郵送での申請も可能な場合があります。
- 申請時には、申請書、本人確認書類の写し、支援事業の修了を証明する書類などが必要となります。
- 手数料が必要な場合があります。福岡市では証明書1枚当たり300円の手数料がかかります。
証明書の交付
- 申請後、通常1週間程度で証明書が発行されます。
- 交付方法は、窓口での受け取り や郵送 などがあります。窓口で受け取る場合は、発行完了の連絡後に本人確認書類を持参して受け取ります。郵送を希望する場合は、返信用封筒や郵送代が必要となる場合があります。
重要な注意点
- 証明書の有効期限は、自治体や優遇措置によって異なる場合があります。
- 各優遇措置を受けるためには、それぞれの窓口に証明書の原本を提出する必要があります。
- 会社設立時の登録免許税の軽減を受けるためには、会社設立前に証明書を取得する必要があります。設立後に遡って適用することはできません。
- 福岡市が交付する証明書は、福岡市以外の自治体で会社を設立する場合、登録免許税の半額軽減を受けることはできません。
認定特定創業支援等事業は、創業を検討している方にとって、知識習得と資金調達の両面から大きなメリットを提供しうる制度です。ぜひお住まいの市区町村の情報を確認し、積極的に活用を検討してみてください。
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