ウォーキングシューズ選びの基準には、クッション性、安定性、フィット感、重さ、ソールの屈曲性など様々なものがあります。
スポーツショップに行き、シューズ売り場で目にするのは、初心者向け、中級者向け、サブ3、サブ4ランナー向けなど、機能性はクッション性、安定性、軽さ、履き心地の良さといった表示を見て選ぶことが多いのではないでしょうか?もちろん、そういった表示を参考にして店員と話をしての選ぶのも大切です。
筆者自身、中高年で始めた二桁の100kmウォークやフルマラソンを通して感じたことは、ある程度記録を意識していくと筋力と推進力のバランス、そして20時間前後にわたる長時間履き続けることから100kmウォークはフルマラソン以上にシューズ選びが重要と感じた次第です。
そこで今回、ウォーキングシューズでは明確な業界基準や定義存在しないドロップという基準を、ランニングシューズのドロップを基準に考えてみました。
ドロップとは?
ドロップ(ヒール・トゥ・ドロップ)の重要性に関しては、ミズノマガジンで解説が出ています。
ドロップとは、シューズのかかと部分のソールの厚さと、つま先部分のソールの厚さの差をミリメートル(mm)で表したものです。

- ドロップが高い (例: 8mm以上)
かかと部分が厚く、クッション性が高い傾向があります。かかとからの着地をサポートしやすいですが、自然な足の動き(ミッドフット/フォアフット着地)をやや妨げる可能性もあります。 - ドロップが低い (例: 0mm~4mm)
かかととつま先の高さの差が少なく、より裸足、最近の言葉だとベアフットに近い感覚で歩けます。
足本来の機能を引き出しやすい反面、ふくらはぎやアキレス腱への負荷が増える可能性があります。

一般的にウォーキングシューズは、ランニングシューズほどドロップのバリエーションが多くなく、歩行時の安定性や快適性を重視した設計が多いです。
もし、あえてレベル別にドロップの傾向を考えるならば、以下のような目安が考えられますが、これはあくまで一般的な傾向であり、個人の好みや歩き方、足の状態によって最適なドロップは異なります。
- 初級者向け:
- 考えられるドロップ: やや高め(例: 8mm~12mm程度)
- 理由: ウォーキングを始めたばかりの方や、楽に歩きたい方にとっては、かかと部分のクッション性が高い方が衝撃を吸収しやすく、安心感があるかもしれません。一般的なウォーキングシューズやクッション性を重視したモデルに多い傾向です。
- 中級者向け:
- 考えられるドロップ: 中程度(例: 4mm~8mm程度)
- 理由: 定期的にウォーキングを行い、ある程度の距離を歩くことに慣れてきた方は、クッション性と自然な足運びのバランスが取れたシューズが使いやすいかもしれません。様々なタイプのシューズが存在するゾーンです。
- 上級者向け:
- 考えられるドロップ: 低め(例: 0mm~4mm程度)
- 理由: 長距離を歩く方、より自然な歩行感覚(ベアフットに近い感覚)を求める方、足裏やふくらはぎの筋肉を積極的に使いたい方は、低ドロップやゼロドロップのシューズを選ぶ傾向があります。ただし、これらのシューズを履きこなすには、ある程度の筋力や慣れが必要です。
【重要な注意点】
ウォーキングシューズ選びにおいては、レベル分けされたドロップの基準を探すよりも、ご自身の目的や感覚に合った、快適に歩ける一足を見つけることが最も重要です。
- ドロップだけで選ばない
シューズ選びでは、ドロップ以外にもクッション性、安定性、フィット感、重さ、ソールの屈曲性などが重要です。 - 個人の足に合わせる
足の形、歩き方の癖(かかと着地か、そうでないかなど)、過去の怪我の有無などを考慮して選ぶことが最も大切です。 - 試し履きをする
可能であれば、実際に店舗で試し履きをして、ご自身の感覚に合うかを確認することをおすすめします。
ドロップを基準としたシューズ選び
筆者自身が独断と偏見、且つメーカーができるだけ被らないようにドロップを基準に選んだものになりますので、あくまで参考までにしてください。
ドロップ以外にもクッション性、安定性、フィット感、重さ、個人の足型や歩き方との相性が非常に重要です。
必ず試し履きをして、ご自身の足に合うかを確認してください。 また、ドロップ値はモデルやバージョンによって変動する可能性があります。
1. 【初級者向け】ドロップやや高め(目安:8mm〜)
ウォーキングを始めたばかりの方、楽に歩きたい方、かかとからの着地が主な方向け。クッション性や安定性を重視したモデルが多い傾向です。
- New Balance Fresh Foam X 880 シリーズ (例: v13, v14,v15)
- ドロップ目安: 約10mm
- 特徴: ニューバランスの定番モデルの一つで、クッション性と反発性のバランスが良い「Fresh Foam X」ミッドソールを搭載。安定感もあり、ウォーキングからジョギングまで幅広く対応します。日常的なウォーキングに安心感を与えてくれる一足です。
- ASICS GEL-MOOGEE (ゲルムージー) シリーズ
- ドロップ目安: 非公開(アシックスのウォーキングモデルはやや高めの傾向)
- 特徴: アシックスのウォーキング専用設計モデル。かかと部にGELを搭載し衝撃緩衝性を高め、歩行時の安定性をサポートする構造になっています。楽に長く歩くことを重視する初心者の方に適しています。
- Skechers GO WALK シリーズ (例: GO WALK 6, GO WALK Arch Fit)
- ドロップ目安: 非公開(モデルにより異なる可能性)
- 特徴: 非常に軽量で屈曲性が高く、クッション性に富んだ素材を使用しているのが特徴。スリッポンタイプなど着脱しやすいモデルも多いです。足を入れた瞬間の快適さが魅力で、気軽にウォーキングを楽しみたい方におすすめです。Arch Fitモデルは土踏まずのサポートも強化されています。
2. 【中級者向け】ドロップ中程度(目安:4mm〜8mm)
ウォーキングに慣れ、少し距離を伸ばしたい方、クッション性と自然な足運びのバランスを求める方向け。
- HOKA CLIFTON 10 (クリフトン 10)
- ドロップ目安: 8mm
- 特徴: HOKAの定番とも言える厚底による高いクッション性を持ちながら、着地時の衝撃を吸収し、安定した走りを実現。スムーズな足運びをサポートします。街履きにも適したデザイン性も魅力です。
- On Cloud 6 (オン クラウド 6)
- ドロップ目安: 8mm
- 特徴: On独自のCloudTec®ソールが、着地時の衝撃吸収と蹴り出し時の反発性を両立。軽量で、フィット感の良いアッパーも特徴です。デザイン性が高く、アクティブなウォーキングから普段使いまで幅広く活躍します。
- ASICS GEL-RIDEWALK 2 (ゲルライドウォーク 2)
- ドロップ目安: 非公開
- 特徴: アシックスが長距離ウォーキング向けに開発したモデル。自然な重心移動を促す「ガイドソール構造」を採用し、効率的な歩行をサポートします。適度なクッション性と安定性を備え、ウォーキングの習慣がついてきた中級者の方に適しています。
3. 【上級者向け】ドロップ低め・ゼロドロップ(目安:0mm〜4mm)
長距離を歩く方、より裸足に近い感覚や自然な足運びを求める方、足裏や下肢の筋肉を積極的に使いたい方向け。これらのシューズは、慣れるまでふくらはぎ等への負荷を感じやすい場合があります。
- ALTRA Rivera (アルトラ リベラ)
- ドロップ目安: 0mm (ゼロドロップ)
- 特徴: ALTRAのシューズは全てゼロドロップで、つま先部分が広く足指が自然に広がる「FootShape™」デザインが特徴です。Riveraは比較的軽量でクッション性も備えているため、ゼロドロップシューズの入門としても、長距離ウォーキングにも適しています。
- Merrell Vapor Glove (メレル ヴェイパー グローブ) シリーズ
- ドロップ目安: 0mm (ゼロドロップ)
- 特徴: まるで裸足のような感覚を追求したミニマリストシューズ。ソールが非常に薄く、地面の感触をダイレクトに感じられます。足本来の機能を最大限に使いたい、ベアフットウォーキングに関心のある上級者向けです。履きこなすには相応の筋力と慣れが必要です。
- Topo Athletic Fli-Lyte (トポ アスレチック フライライト) シリーズ
- ドロップ目安: 3mm (モデルにより多少変動あり)
- 特徴: ALTRAと同様に、つま先にゆとりを持たせたデザインが特徴のブランド。低ドロップながら適度なクッション性も確保されており、自然な足運びを促します。ロードランニングモデルですが、レスポンスの良いウォーキングシューズとしても活用できます。
繰り返しになりますが、上記はあくまでドロップの高さを基準とした分類例です。ご自身の足型、歩き方、好み、そしてウォーキングの目的に合わせて、最適な一足を見つけることが最も重要です。ぜひ店頭で専門家のアドバイスも参考にしながら、実際に履き比べてみてください。
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