健康寿命を延ばす秘訣!中高年こそ意識したい座りすぎリスクとウォーキングの科学

健康寿命を伸ばす、ウォーキングのススメ ウォーキング

はじめに:健康寿命延伸の重要性と座りすぎリスクへの意識

人生100年時代と言われる現代において、長く健康に過ごす健康寿命」を延ばすことは、私たち中高年にとって重要なテーマです。

しかし、現代社会では、長時間のデスクワークや家でのリラックスタイムなど、座って過ごす時間が非常に長くなりがちです。
実は、この「座りすぎ」が、私たちの健康寿命を脅かす大きなリスクとなり得ることが、最新の研究で明らかになっています。

本記事では、中高年こそ意識したい座りすぎのリスクと、それを打ち消し、健康寿命を延ばすための強力な味方であるウォーキングの効果を、科学的な根拠に基づいて詳しく解説していきます。

中高年を蝕む!座りすぎの具体的なリスク

私たちは、世界の中でも特に座っている時間が長い国民と言われています。

オーストラリア(シドニー大学の研究チームが2011年に実施した「世界20カ国における平日の総座位時間」に関する調査)によると、日本人の平均座位時間は1日7時間と、サウジアラビアと同じく世界20カ国の中で最長です。

この長時間の座り姿勢は、私たちの体に様々な悪影響を及ぼします。

最新のデータは見つけることはできませんでしたが、当時と比べてリモートワークも進んでいることから、筆者自身もそうですが、この傾向はより進んでいると考えます。

座位時間
The Descriptive Epidemiology of Sitting: A 20-Country Comparison Using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ)

職場における座りすぎの改善策として、スタンディングデスクの導入で立ったまま働くスタイルがあります。

海外の企業、特にGAFAに代表されるシリコンバレー企業、Ericsson、VOLVOなど北欧諸国を代表する企業では一般的になりつつある模様ですが、日本ではスタートアップ企業とかを除くとまだ導入が少ないのではと考えます。

その他の手段としては、Apple Watch等ではスタンディングを促してくれる機能があったりするので、この機能を意識すると良いと考えます。

  • 筋力低下と歩行能力への影響
    長時間座ることで、全身の約70%を占める下肢の筋肉を使わない状態が続き、筋力低下を招きます。
    特に、ふくらはぎのポンプ機能が弱まり、血液を心臓に戻す力が低下します。その結果、歩行バランスが崩れたり、疲れやすい歩き方 につながる可能性があります。
    また年齢を重ねると、筋力自体が低下するので、年齢と座りすぎの二重で筋力が低下していきます。

筆者自身、コロナウィルス禍で外出も極端に減り、運動することも減り、座って作業することばかりで、みるみる下半身の筋力が衰えていきました。

  • 血流悪化と生活習慣病リスク
    座り続けると、血液中の糖や脂肪がエネルギーとして消費されにくくなり、糖代謝や脂肪分解酵素の活動が低下 します。
    これにより、肥満や糖尿病のリスクが高まる だけでなく、血液がドロドロになり血流が悪化、免疫力低下にもつながります。
  • 不良姿勢と体の痛み
    デスクワークなどで長時間集中していると、無意識のうちに姿勢が悪くなりがちです。
    楽な姿勢を取ろうと背中を丸めたり、偏った姿勢を続けたりすることで、筋肉の緊張や呼吸の浅さを招き、背中や腰に負担 がかかりやすくなります。
    不良姿勢は、歩く際のエネルギー効率の悪い歩き方 にもつながります。
  • 代謝の低下と体重増加
    座りすぎによる活動量の低下は、エネルギー消費を減らし、代謝を遅くし、体重増加 につながります。
  • メンタルヘルスへの悪影響
    長時間座っていると、メンタルヘルスが悪化するリスク も高まります。
    ある調査では、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べてメンタルヘルスの悪い人が約3倍も多いという結果も出ています。
    座りすぎによる疲労やストレスは、うつ病などにつながる可能性も指摘されています。
  • 認知機能低下の可能性
    認知機能低下の可能性: 最新の研究では、長時間の座位行動が、記憶形成に関わる脳領域を薄くし、認知能力を低下させる可能性 も示唆されています。

ウォーキングは健康寿命の味方!科学が証明する驚きの効果

座りすぎのリスクに対抗し、健康寿命を延ばすために、私たちがすぐに始められる効果的な方法の一つがウォーキングです。科学的な研究によって、ウォーキングが私たちの健康に多岐にわたる良い影響を与えることが明らかになっています。

  • 死亡リスクの低下
    ポーランドとアメリカの共同研究では、1日4000歩のウォーキングで、あらゆる原因による早期死亡のリスクを下げ始める効果が得られるという結果が出ています。
    さらに、1日当たりの歩数が多いほど効果は高く、1000歩増えるごとに早期死亡のリスクが15%ずつ下がる と報告されています。
    また、別の研究では、座位時間の長さに関わらず、1日9000〜1万500歩が死亡率を最も低下させる最適値 であることが示されています。
  • 心血管疾患リスクの低減
    わずか2300歩強のウォーキングでも、心臓と血管に良い影響を与えることが示されています。
    また、1日9000〜1万500歩のウォーキングは、CVD(心血管疾患)の発症率の低下にもつながることが示唆されています。
  • 生活習慣病の予防・改善
    ウォーキングは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防・改善 するのに有効です。
    最近の研究では、「1日8000歩、そのうち中強度の歩行が20分」が適切な身体活動量とされています。
  • 筋力維持・向上
    ウォーキングは、特に下肢の筋肉を使い、歩行能力の維持・向上 に役立ちます。
    ふくらはぎの筋肉が鍛えられることで、血流改善にもつながります。
  • 骨粗鬆症の予防
    歩くことで骨に荷重がかかり、刺激が加わるため、骨の強さが増しやすく、骨粗しょう症の予防 にも有効であると言われています13 …。
  • メンタルヘルス改善
    ウォーキングは、快感ホルモンの分泌を促し、精神的な緊張や抑うつ、疲労感などのマイナスの感情を低下させ、活力を向上させる 効果が報告されています。別名「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌を促し、精神的な落ち着きをもたらします。
  • 認知機能の維持・向上
    ウォーキングによる脳の血行促進は、脳の活性化を促し、認知症のリスクを低減させる という報告もあります。
  • エネルギー消費と体重管理
    エネルギー消費と体重管理: ウォーキングは脂肪をエネルギーとして燃焼 しやすく、継続することで肥満解消につながり、健康的な体重維持に貢献します。

中高年のためのウォーキング実践ガイド:無理なく続けるコツ

ウォーキングの効果を最大限に得るためには、無理なく継続することが重要です。中高年の方が日常生活にウォーキングを取り入れるための実践的なガイドをご紹介します。

目標を設定しよう!

まずは、ご自身の体力や健康状態に合わせて無理のない目標歩数を設定しましょう。

初期目標は

最初は、1日プラス10分(約1000歩) のウォーキングから始めてみるのがおすすめです。
とにかくウォーキングに慣れることから始め、少しづつ時間を伸ばしていきましょう。

推奨目標は

健康維持のためには1日8000歩、生活習慣病予防には「1日8000歩、そのうち中強度の歩行が20分」を目安にすると良いでしょう。
ただし、1日1万2000歩を超えると病気の予防効果は頭打ちになるという研究もあります。

  • ウォーキングの強度
    健康寿命を延ばすためには、中強度 のウォーキングが最適とされています。大股で地面を力強く蹴って歩く、うっすらと汗ばむ程度の速歩き、会話が何とかできる程度の息が弾む歩行を意識しましょう。
  • 日常生活への取り入れ方
    通勤や買い物、家事など、日常生活の中で歩数を増やす工夫をしましょう。
    例えば、駅までバスや車で行く代わりに歩く、会社の昼休みに少し遠いお店まで歩いてみる、仕事中は意識して階段を使うなど、小さな積み重ねが大切です19 …。まずはプラス10分のウォーキングを意識することから始めましょう22 …。

ウォーキングの際の注意点

  • 無理のないペースで
    とにかく無理のないペースで、体調が良い時に行いましょう。
    運動前後のストレッチや水分補給も忘れずに行いましょう。特に暑い時期は熱中症に注意が必要です。
  • 歩幅を意識する
    歩幅を広げて歩くことで、自然とスピードも上がり、運動強度を高め、消費カロリーを増やす ことができます。
    身長から一般的な歩幅の目安を知り(身長(cm) – 100cm)、普段より少し広げることを意識してみましょう。

ウォーキングの楽しみ方

音楽を聴きながら、景色を楽しみながら、あるいは友人と会話をしながらなど、自分が楽しめる方法でウォーキングを継続しましょう19 …。「楽しい」と思いながら運動をする方が、嫌々体を動かすよりも脂肪が燃焼しやすくなる という研究もあります30 。

さらに健康寿命を延ばす!座りすぎ解消と運動習慣

ウォーキングに加えて、日常生活の中で座りすぎを解消する工夫や、他の運動習慣を取り入れることも、健康寿命を延ばすためには重要です。

  • 座りすぎを防ぐ工夫
    30分に1回は立ち上がって軽く体を動かしたり、スタンディングデスクを活用したり、会議を立って行うなど、座っている時間を意識的に短くする工夫を取り入れましょう。
  • 「非運動性活動熱産生(NEAT)」の重要性
    立つ、買い物をする、家事をするなど、日常生活の中でのちょっとした活動も、エネルギー消費につながります。
    できるだけ意識して体を動かすようにしましょう。
  • ウォーキング以外の運動の取り入れ
    ウォーキングに加えて、筋力トレーニングやストレッチ を行うことで、さらに健康効果を高めることができます。
  • 運動習慣の継続
    運動を長続きさせるためには、「サボる日を決める」 のも有効な方法です。
    無理のない範囲で継続することが大切です。

おわりに:生涯現役のために、今日からできること

「座りすぎ」は、中高年の健康にとって見過ごせないリスクです。しかし、ウォーキングを中心とした適度な運動習慣を取り入れることで、そのリスクを打ち消し、健康寿命を大きく延ばす ことができます。まずは、今日からできることから始めてみませんか?日常生活に少しの工夫と意識的なウォーキングを取り入れ、いつまでも健康で活動的な毎日を送りましょう。

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